私は都内のマンションに住んでいる。
家賃は管理費込みで5,5000円、1K、RC造のいわゆるワンルームマンションと呼ばれる住居だ。
立地は最寄り駅まで徒歩8分、徒歩5分圏内にコンビニ5軒、ドラッグストア1軒、スーパー2軒、書店1軒というなかなかの好立地だと思っている。
24時間ゴミ出しOK、ゴミ出しの日は管理人が清掃までしてくれる至れり尽くせりの高コスパマンションを見つけたのが2020年。コロナ禍の緊急事態宣言が解除される直前だった。
契約から引っ越しまで一人ですべて行い住み始めてから一か月経たずして異変が起きた。
悲鳴である。
不定期、時間問わず悲鳴が聞こえるようになったのだ。最初は若い女性を拉致監禁でもしているのかと思ったのだが違う模様。
どうやらマンション内のどこかの部屋で遊んでいるようである。
昼夜を問わず聞こえてくる悲鳴は時に切なく、時に激しく私の部屋まで響き渡っていた。
次第にしわがれた笑い声も聞こえてくる始末。
鉄筋とは?誰ともなく問いかけてもその声はむなしく反響するだけだった。
そうこうするうち、どうやら105号室に住む隣人が騒音の原因だと判明した。
ちなみに105号室の主はチー牛を食べていそうな物静かな男性(男の子?)である。
見た目のチー牛感に見合わず、女友達を招いてゲームパーティーに興じている模様。
詳しくはかけないが一時期は一触即発の状況になりつつも、度重なる文句によって隣人の騒音はなくなった。
しかしこれで終わりではなかった。
時間が進んだ2022年9月。
プーッ!
突如として管楽器の音が閑静な住宅街に響き渡るのだった。
向かいの一軒家に住む人が突如、管楽器を武器に襲い掛かってきたのだ。
チー牛を撃退したと思ったら今度は管楽器。
しかも向かいの家である。これではどうにも手を出せない。
ちなみに楽器の腕前は素人の耳で聞いてもヘタクソである。
- 同じ個所でとちる
- 音程がずれている
これが長い時で一日4~5時間、毎日続く。まさに(聞く側が)地獄のレッスンである。
精神の弱い方であれば発狂すること請け合いだろう。
当時、私の勤めていた会社は在宅勤務を実施しており勤務はセキュリティの都合で自宅で行う必要があった。
つまり、どんなにうるさくても家から出て仕事してはいけないのである。
まさに騒音監獄。
四面楚歌である。
妙に四字熟語が増えてしまい、画面が非常にうるさく感じるが、それはご愛敬。
いよいよオフィスへ通勤しなければならないか?と思案したところで天啓が下ることとなる。
「それってあなたの感想ですよね?」
ひろゆきである。
そう、演奏しているなら感想をお伝えすればよいのであると。
数日にわたり自身の感想を伝え続けたところ、先方の公演時間が徐々に短縮されたのである。
至極残念であるという感想を持ったことをことさら強調させていただきたい。
前述したとおり毎日4~5時間の公演が、不定期1~2時間前後まで短縮されたのである。
これは2020年から2023年4月まで約3年におよぶある漢の闘いの記録である。
これを書いている5/22 21:30。
プーッ!
窓の外から、か細い管楽器の音が聞こえた気がした。
私は震えたらしかった。