今更見た「みなみけ~おかわり~」の感想

「みなみけ」は桜場コハルさんによる、漫画作品です。

2007年にアニメ1期「みなみけ」が放送され、2008年にアニメ2期「みなみけ~おかわり~」が放送されました。

みなみけ~おかわり~(以下、おかわり)はいわゆる「炎上したアニメ」の一つに数えられることがあります。

PixivやYouTubeを検索すると、炎上したアニメ作品として解説されていることからも炎上アニメの印象が強いでしょう。

個人的にみなみけはおもしろいアニメの印象が強かったので、おかわりの酷評は逆に興味を引きました。

ということで、おかわりは飛ばすか迷ったのですが、なんだかんだ全話視聴したうえで感想を記しておこうと思います。

みなみけ~おかわり~の感想

ミステリー物を彷彿とさせるOP

おかわりのOPは「ココロノツバサ」で、無印同様に春香、夏奈、千秋を演じる三人の声優さんが歌っています。

無印のOP「経験値上昇中☆」のポップなイメージとは一変、シリアスさや哀愁を感じさせるOPでした。

無印OPは夏奈が料理しているシーンの悪そうな顔が地味に好きです。

マジで最初見たときは金田一少年の事件簿かよと思いましけど。

あとOP前半で春香、夏奈がそれぞれ歩く演出があるのですが、歩き方がちょっと気持ち悪かったです。

春香は無駄に肩で風切ってるし、夏奈はがに股だし。

キャラクターの言動:ボケと突っ込みの無印、辛辣なだけのおかわり

個人的に引っかかった違和感がこれです。

おかわりはキャラクターの言動に違和感を感じる場面が多いと感じました。

  • 我がままに映る夏奈の言動
  • ひたすら辛辣な千秋

みなみけにおいて、夏奈はいわゆる狂言回しの役割を担うことが多いです。

エキセントリックな発想から次第に周囲の人(主に千秋)とボケと突っ込みの応酬を繰り広げる様は計算された漫才を見ているような気分にさせられるでしょう。

みなみけの日常アニメとして評価されたのは、このボケと突っ込みの成立にあると考えられます。

しかし、おかわりではどうでしょう。

夏奈は狂言回しのポジションであるものの、ただの我がままに見える言動が多く違和感を感じる場面が多かったです。

「7杯目噛めば噛むほど甘くなるんだよ」を例にしましょう。この回はバレンタインデーに向けて千秋、内田(千秋の友人:バカ度50%)が春香の指導の下チョコを作るという話です。

この回の夏奈の行動をいくつかピックアップします。

  • 予備のチョコを冬馬と一緒に食べたにも関わらず、チョコが不足すると冬馬一人だけに買いに行かせる。
  • 千秋が湯煎したチョコをすべて食べてしまう。

などボケではなくただやりたい放題していたように感じる場面が目立ちました。

その後、千秋が用意したトラップのまずいチョコで報復されているので話のオチはついています。

あくまで夏奈の言動は作品のメタ視点でいえば、「ボケ」であるといえます。

無印ではボケに対する突込みが成立していたにも関わらず、おかわりになって突っ込みの要素がなくなったことが、夏奈の言動を我がままに感じさせる原因になっていると考えられます。

次に、千秋の言動についてです。

千秋は南家の三女で小学5年生の女の子、長女・春香を尊敬し家の手伝いもこなすしっかり者です。

言動は大人びており、夏奈に対して「バカ野郎!」と日々突っ込みを入れます。

物語における突っ込みの役割を担い、笑いを成立させるポジションといえるでしょう。

無印ではそのポジションを全うし、切れのある突込みを披露して笑いを誘いました。

しかし、おかわりではその切れが悪い方向に目立ち、千秋の言動がただ辛辣に感じる場面があります。

  • 転校生(後述する冬木真澄のこと)がくるという話を振ったものの、詳しくは知らないと話す冬馬に対して、「使えない」「話をするなら名前くらい調べろ」とつらく当たる。
  • 夏奈と罵りあいや、喧嘩といえるようなやり取りが多くなる。

具体的には上記の言動です。

冬馬は南家三姉妹と同じ、南性を名乗るキャラクターで無印が初登場。

いわゆる「もう一つの南家」の末っ子長女で、千秋と同じ小学校に通っている女の子です。

上に3人の兄がいる末っ子という設定から男勝りな性格で、一部のキャラクターからは男の子として認識されているほどです。

にも関わらず、おかわりでは上記の言動を受け「冷たい…」と、ぼやくほどショックを受けているシーンがありました。

千秋は毒舌も特徴の一つですが、それは突っ込み限った話。一切ボケていない冬馬に対して、かける言葉であるか疑問を感じました。

また夏奈との変わり方にも変化があります。

前述したとおり、みなみけにおける夏奈と千秋はボケと突っ込みの関係といえます。

二人の姉妹喧嘩は漫才やプロレスととらえることもできるでしょう。

時には夏奈の言動に千秋が振り回されるなど、まさにコメディ要素として素晴らしい関係性です。

しかし、おかわりではその関係性に変化があります。

夏奈と千秋のやり取りが非常にギスギスしているのです。

  • 千秋が突っ込みの代わりに、夏奈をふじおか(無印第12話「クリスマスとかイブとか」でもらったプレゼント)で殴る
  • 些細なことでつかみ合いをする
  • 夏奈が冬木真澄と千秋を比較して千秋を煽る(千秋もムッとして言い返さない)

これではただの姉妹喧嘩です。

あくまで個人の感想ですが、私は南さん家の三姉妹のちょっと笑えるゆるい日常を見たいのです。

確かにリアルな日常では喧嘩もあるでしょう。

しかし、これは「みなみけ」という日常系アニメ。

生活のリアルさに対するニーズがあるのか疑問を禁じえません。

やっぱり存在が謎だった「冬木真澄」

多くの視聴者がそうであったように、私も登場させた意図が全く分からなかったキャラクター、冬樹真澄についても触れていきます。

冬木真澄は南家の隣に越してきた少年で、千秋と同じ小学校に通う小学5年生です。

引っ込み思案な上に頼みごとを断れない性格で、周りからいろいろなことを頼まれています。

  • 町内清掃で川の中に放置された自転車を引っ張り上げる役や、軍手の配布役
  • 学校のプリント配り

物事をはっきりさせない彼の言動に、千秋もいらいらする場面が多かったです。

なぜ冬木真澄の存在が謎なのか、簡単に整理してみました。

  • 冬木真澄を通じて何を伝えたかったのか不明だった
  • 突然の退場

冬木真澄を通じて何を伝えたかったのか不明だった

どんな作品においても、物語のテーマがあります。

例えば「愛」をテーマにしているなら、愛の尊さや大切さを伝えることが目的になります。

そのために「愛の大切さを伝えるキャラクター」と「愛を否定するキャラクター」の存在は不可欠です。

テーマを否定することで物語を盛り上げ、物語への没入をスムーズに行うためです。

物語のテーマを伝えるためにキャラクターは存在していると考えられます。

みなみけなら、南さんちの日常をゆるく描くことがみなみけのテーマであり、そのために南三姉妹は不可欠です。

また日常である以上、友人やクラスメイトも必要になるでしょう。

  • 夏奈へ好意を寄せるが全く気付かれないどころか、振り回される藤岡
  • バカすぎる上に、春香の手伝いを横取りしたことに腹を立てた千秋から出入り禁止を言い渡されたにも関わらず、マコちゃんとして女装までして南家に出入りするマコト

このように南家の誰かとかかわりたいキャラクターや振り回されるキャラクターがみなみけには必要なキャラクターといえます。

しかし冬木真澄はどうでしょうか?

自らのスタンスが不明(千秋が気になっていたようだが、何も伝えずに引っ越している)で、作中でなにも主張していないため、物語上の立ち位置が全く定まらないまま登場を終えています。

突然の退場

また冬木真澄の退場についても疑問が残ります。

12杯目「もう一口が辛いのです」で、運動会(作中時間軸で3月後半?)を控えた千秋と真澄は運動会の実行委員として忙しい日々を過ごしています。

マンションのドアの前で何か言いたげにする真澄に、千秋は苛立ちながらも「言いたいことがあるなら言え」と促しますが、真澄は「実行委員、頑張ろう」とだけ伝えて家に入ってしまいます。

そんな中、冬木家が引っ越すことが分かるものの真澄は相変わらず何もいいません。

そして迎えた運動会当日、昼食を一人で食べるという真澄を千秋が自分たちの席に誘います。

昼食を取り、午後の競技が始まる中、真澄は父親に連れられて学校を後に。

運動会終了後、千秋は冬馬から「真澄は運動会の当日に引っ越す予定で、無理して午前中だけ出ていた」と伝えられます。

結局、真澄は何を言いたかったのかわからないまま12杯目は終わり、最終回である13杯目のラストで引っ越した真澄からの手紙を千秋が受け取り口元をほころばせるシーンが流れました。

盛り上がりが一切なく、真澄が父親と学校から離れている様子が淡々と流れるだけです。

ただでさえ曇りの日や雪の日の舞台背景が多いおかわりの中で、貴重な晴れの背景にも関わらずその姿は寒々しかったことを記憶しています。

改めて文字にしてまとめても、謎の残る退場シーンでした。

  • 引っ込み思案の性格が千秋を通して変わる
  • 意を決して千秋へ思いを伝える
  • 頼まれたことをはっきり断る

などのシーンがあれば、賛否はあるにせよドラマとしてオチがついたのでは?と思います。

一ついえることは、冬木真澄は視聴者に逆の意味でインパクトを与えた点です。

保坂の品質は担保されていた

批判の多いおかわりですが、一点、保坂の品質は担保されている点は評価できるでしょう。

保坂は春香の通う高校の3年生でバレー部所属。

容姿端麗である一方、気持ち悪い言動で周囲を引かせる、みなみけ屈指の名物キャラクターです。

  • 春香をバレー部マネージャーにして汗を拭いてもらいたい
  • 春香関連の妄想を周囲に話し、演じてしまう
  • 春香の行く先にアルバイトやボランティアとして潜り込む
  • 突然服を脱ぎだす

上記の奇行が代表的と言えます。

無印ではその気持ち悪さを十全に発揮し、視聴者をくぎ付けにしました。

おかわりになっても保坂の気持ち悪さは健在で、高い品質を保っています。

  • 町内清掃の話を聞いて、自身も参加する
  • 春香との人工呼吸想像して、プールサイドで春香に見立てた人形に人工呼吸を始めて他の従業員から止められる

また、無印同様、最終回最後のシーンも保坂の笑いで締めくくられています。

批判の多いおかわりですが、保坂の品質が高いまま保たれれていたことに視聴者も安心したことでしょう。

まとめ

今回はみなみけ~おかわり~を見た感想を言語化しました。

  • おかわりは、みなみけのアニメ2期
  • 夏奈や千秋の言動の変化
  • 冬木真澄の存在
  • 保坂の品質

おかわりとは、アニメ「みなみけ」の2期にあたる作品です。

2008年に放送されています。

感想として、夏奈と千秋の言動の変化や冬木真澄の存在に疑問を感じる場面が多かったです。

保坂の気持ち悪さは作品が変わっても高い品質を担保している点が評価できるでしょう。

結論として、みなみけ~おかわり~は見なくてもよかったと感じました。

2023年11月現在、みなみけ おかえり(アニメ3期)を見ていますが、無印のテイストが戻り見やすい作品となっています。

みなみけをご覧になりたい方は、みなみけ(無印)→みなみけ おかえりの順で楽しむことをお勧めします。

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